前置きなしに、いきなり本題から入る。僕が渋谷を好きになれない理由だ。 ずっと渋谷に憧れていた。画面越しに見る渋谷はクールで面白そうだった。……実際に足を踏み入れるまでは。
渋谷が苦手な理由はたくさんあるけれど、その一つは、ある苦い思い出のせいだ。 このブログを読み進めていけば、ちょくちょく「特定の人物」が登場することになる。とりあえず、彼を「ビデボーイ(Bidet Boy)」と呼ぶことにしよう。 このあだ名の由来は、また別の機会に話すよ。
ビデボーイは日本人女性と結婚していて、奥さんは彼より8歳年上だ。彼は日本が大好きで、ずっと日本に行きたがっていた。 でも、僕の周りの多くの人がそうであるように、彼も言葉が通じないことや移動への不安から、一人で日本に行くのを怖がっていた。僕の知る限り、外国人が日本に来る時はたいていグループで行動する。一人で日本に来て、その困難を乗り越えたのは僕の周りでは僕だけだ。
僕が日本にいると知ったビデボーイは、故郷での仕事も、友人関係も、家族の用事もすべて放り投げて、「すぐに行く」と言ってきた。 僕がいるなら安心だ、と思ったんだろう。
彼はすぐさま日本に飛んできた。そして最初に「渋谷に行きたい」と言い出した。僕は数週間日本にいたけれど、まだ渋谷には行ったことがなかった。「わかった、じゃあ渋谷に行こう」と答えた。
そして当日、渋谷で彼を待っていた僕が最初に感じたのは、観光客たちの「羊の群れ」のようなメンタリティだった。みんなスマホを掲げて、ただの交差点を必死に録画している。 おいおい……ただの交差点だぞ。いや、ポジティブにいこう。彼らが楽しんでいるならそれでいい。でも、なかなかすごい光景だった。今度渋谷に行ったら、渋谷を撮っている人を撮るという趣味を始めてやろうかと思うほどだ。(冗談だよ、やらないけどね)。
ともかく、コーヒーを飲もうとスタバへ向かった。あの有名な、交差点を見下ろせるスタバだ。(もちろん知っているよね?)
ああ……座り心地のいい椅子、日本のスターバックスの質の高いコーヒー。そしてビデボーイとの会話。 そんな時、ビデボーイの奥さんから電話がかかってきた。奥さんが何かを小言で責め立てているのか、彼はすごく怒り出した。 あまりの激昂ぶりに、彼はこの静かな日本のスタバの真ん中で、店内の全員に聞こえるような声で叫んだんだ。「離婚してやる!」って。
彼はとんでもない騒ぎを起こした。
僕は遠くを見つめながら、感情を失ったような目で虚空を眺めていた。頭の上にスマホを掲げて交差点を録画する大勢の外国人たちをぼんやりと見ていたんだ。
僕は恥ずかしかった。 そして、ビデボーイのせいで恥をかいたのは、これが最初じゃない……。
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